谷川俊太郎さんとのこと — 加藤俊朗

©川島小鳥
谷川俊太郎の息と加藤俊朗の息でつながっています。
限りなく透明な息で・・・宇宙と同化するように
俊と俊の一字で一つになっているんです。

— 出会い

谷川先生との出会いは?ってよく聞かれるんです。
初めてあったのは確か海の見える仕事部屋だったと思います。
そこのオーナーさんと勘違いしてて、詩人で有名だとは全然知りませんでした。
正直言って「谷川俊太郎」一度も聞いたことなかったです。
だから、先生との出会いは?と切り出されると戸惑っちゃうんです。
出会ってどうでした?と訊かれたら、スーッと答えられます。
「ぼく成長しました」とか「すごく得しました」、「出会ってから人生が変わったね」って言えます。
何が変わったといって、一番は本を出したことです。
還暦で一冊目を出したんです。
この本は二冊目です。
(「呼吸の本」あとがきより抜粋)

— 谷川先生とのレッスンの最初は何をやられましたか?

「気で飛ばす」ことをやってました。
気で飛ばすとは、自分の手首と相手の手首を合わせて気を出しあって元気になる健康法です。
気の強いほうから弱いほうに、手首を通して気を流すと、弱いほうに動きの変化が起こるんです。
人が飛んだり、跳ねたり、走ったりする現象のことです。
動きの変化を起こすために、「気の感じ方、気のつかみ方、気の出し方」をやってました。
言い方を変えると、力みをとったり、無駄な力の抜き方です。
要するに最初は「気」です。

— 谷川先生は呼吸を教える生徒としてみたとき、どうですか?
  良い生徒ですか? それとも問題児ですか?

僕の考えでは、生徒にいい生徒、悪い生徒ってありません。
不良少年、不良少女って言うじゃないですか。
不良の子を問題児とするならばとても良い生徒です。
先生の特徴は「素直」。
78歳でこれだけ素直な人はなかなかいませんね。
今では、早い呼吸は5分間連続でできます。
1分間の呼吸数は2回です。すごいですよ。

 

加藤俊朗さんとのこと — 谷川俊太郎

加藤俊朗さんは不思議な人だ。
初めて会ってもう十年近くなるだろうか。
当時私が借りていた海辺の家に現れたときは、
友だちの友だちというだけで、
どんな仕事をしているのか、どんな経歴なのか何ひとつ知らなかった。
でも一目見て私はふだんつきあっている物書きや絵描きや編集者とは違う何かを感じた。
しばらくして定期的に呼吸法を習うようになったのだが、
加藤さんの言うとおりに呼吸し、
からだを動かしていると、
時には居眠りができるほど気持ちがいい。
痛いこと苦しいことはしない、
がんばらない無理しない、
とにかく気持ちよくやるという先生だから、
生徒の私も緊張しないで楽しめる。


加藤さんが自分のアタマ(左脳)というよりは、
カラダ(右脳)の感覚と行動を通して身につけた独特な宇宙観、
人間観が私にとっては新鮮で、
いまだに私は彼に驚かされている。
加藤さんの中には子どものように常識に捉われないあどけない一面と、
組織の中でもまれてきた大人の世間知が同居している。
若いころはグレていたと言うが、
そのころのことは知らない。
だがもし殴り合いにでも巻き込まれたら、
加藤さんは心強い味方になってくれると私は信じている。


加藤さんは言葉にならないものを大事にする人だが、
同時に常に言葉を探し求めている人でもある。
この本に出てくる「言霊(ことだま)ゼーション」という独特な造語も、
彼の言葉観から来ている。
言葉の力は意味だけにあるのではない。
言葉のもつ波動(バイブレーション)のもつ力もまた知らず知らずのうちに私たちを動かしている。
活字を読むだけでは感じにくいが、
声になった言葉にはそれを発した人の魂がこもっている。


何につけても速度が重要視されるこの時代だが、
スローフード、スローライフというようなことも言われ始めている。
加藤メソッドは、
この<今>を通して<永遠>につながること、
この<ここ>を通して<宇宙>につながることを目指している。
そのようなゆったりした時空に生きるためのヒントが、
この本にはいろいろあると思う。
(「呼吸の本」まえがきより抜粋)