「幼なじみの同級生」

お世話になった同級生は谷本です

彼は近所に住んでいて幼稚園まで一緒に遊んだ

小学生になったら広島の学校に転校したんです

 

僕が40をすぎた頃、

島の役場に母のことで行ったときのことです

母を老人施設に入れるために受付で相談してたんです

そしたら、奥の方から一人の男性が近づいてきた

 

僕の前にきて、

「としろうちゃんじゃないか、どうしたんや?」

僕は思わず立ち上がった・・・

「谷本か?」

「お母ちゃんのことで相談しとんよ

施設に入れたいんじゃ・・・」

「島の施設はいっぱいじゃけん、わしが探したるけん」

 

当時こんな会話を40年ぶりにした

3日後に連絡が来て、本土の吉名なら入れるけん

吉名はできたばかりじゃ、

丘の上に建っていて、

海が見えて朝日が差し込むいいところじゃ

 

わかった、母に聞いてすぐ返事するけん

こんな会話の後に、

母は海の見える施設に入りました

 

あれから、30年が過ぎた

島の同級生オサムに勇の電話番号を聞いた時、

ついでに谷本のことを聞いたら

徳森に養子に行っとるけん

白水港の近くに住んどるそうだ

 

6月16日に用があって島に帰りました

白水港のそばにあるいずみ旅館に泊まる

白水の役場で聞く、港の人にも聞くがわからなかった

酒屋の親父に聞いたら分かった(笑)

 

徳森の家は新築したばかりだった

玄関のインターホーンを押した

奥さんが出てきたので、ご主人に用があって・・・

奥さんはご主人を連れて出てきた

 

僕が知っている谷本に・・・少し似ている

としろうだけど・・・

母がお世話になったのー、お礼が言いたかった

と言いながらマスクをとった

 

谷本は俺を見て

知らない人の名前を言った

母のことは全く覚えていない

しばらく考えていて・・・

としろうちゃんか・・・

 

やっとわかったみたい

母のことは思い出さなかった

僕は、覚えているのに

幼なじみはすっかり忘れているんです

 

人って気にしてることは全く違うね(笑)

谷本に酒飲むんやと聞いたら飲まん

じゃー、甘いもんか、言ったらそうだと

お礼の挨拶だけして別れた

 

別れ際に8月にまた来るけん、

虎屋の羊羹を持ってくるけんのと言ったら

谷本はニッコリと笑った

私もニッコリ笑う

これでいつ死んでもいいと思った

 

呼吸法で健康になりましょう、寝る前に気持ちよくお腹で息を吐く

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